Theme 03高級店で養殖魚は使えない?

海産物の漁獲量が年々減少しているという事は周知のことだと思います。
色々な原因が重なっていますが、大きな要因としては気候変動と魚を取りすぎている事で、
共に人の行動が原因になっています。

魚を取りすぎている原因には、天然もの至上主義があります。
とにかく天然ものでなければダメだという価値観には違和感があります。
料理として大事なのは最高に美味しくする事が重要のはずです。

SOAでは未利用魚(市場に流通せず廃棄されてしまう魚)と堺で陸上養殖している魚を使用しています。
食材の力に頼る調理では無く、難しい食材をテクニックを用いて新しい価値を与え、想いや哲学を加えて作品に仕上げる事がSOAが目指す土のガストロノミーの形です。

古典フランス料理が発達したのは、食材保存や流通が悪かったため劣った食材をどう美味しくするかがフランス料理発展のポイントになったと言われています。
その時代の料理人は試行錯誤を重ね新しいフランス料理の体系を作っていったはずです。

現代でははるかに豊かになり、有り余る食材を使えるようになりました。
しかし、さまざまな食にまつわる問題が噴出している今
料理人が真価を発揮するのは最高級の食材を使用し、豪華絢爛の料理を作る事では無く
一般的な食材を料理人のテクニックを駆使して、最高級の食材で無くとも最高級の料理が出来るというレベルまで調理技術を発達させる事だと信じています。
こういった取り組みが新しいガストロノミー文化に繋がっていき 限りある海産資源を少しずつシェアしながら後世まで残していく事に繋がるのではないでしょうか?

天然・養殖だけで価値判断をされないガストロノミー文化が醸成される日が来るまでSOAのチャレンジは続きます。